** * まちだ雑学大学 * ****

  講座概要


    
  第93回講座    2018.4.17  町田市民文学館2階大会議室

            皇室ってなんだ!
 竹元正美 氏


1 皇室の特徴
 日本の皇室は、神話の世界につながりを持つ世界最
古の王朝である。初代神武天皇から第125代今上天
皇まで万世一系の皇統を有しており、いずれも男系に
より継承されてきている。
 その特徴としては、宮中祭祀にみられるように神事
を大切にし、国家の安寧と国民の幸福を祈ってきてい
る。また、叙勲や任命を行うなど最高の権威を保持し
てきている。学問や教養を深めることも大切にし、こ
れらは、現在の歌会始や講書始につながっている。こ
の他、文化的役割や社会的役割、そして、歴史上
重要な役割を果たしてきている。
 皇室の特徴を別の面から見ると、祈り、お慎み、天子の徳があげられる。

 
2 ご公務の実態
 天皇のご公務には憲法で規定された国事行為、
象徴としての立場からの公的行為、その他の行
為がある。国事行為には、内閣総理大臣の任命
など12項目がある。公的行為には、行幸、式
典ご臨席、拝謁、外国とのご交際などがある。
その他の行為には、公的性格を有するものとし
て、慰霊・追悼、被災地慰問、宮中祭祀などが
ある。天皇陛下は国家の安寧と国民の幸福を祈っ
ている。
3 宮中行事
 宮中行事には、新年一般参賀、講書始の儀、
歌会始の儀、園遊会、天皇誕生日祝賀がある。

4 生前退位問題
 今上天皇まで124回、皇位が継承されてきたが、その内、59回は生前譲位である。しかし、
明治の旧皇室典範以降、皇位は終身制となり、天皇の高齢化に伴うご負担の問題が生じてきた。
このような背景のもと、天皇の生前退位を可能とする皇室典範特例法が成立し、2019年4月
30日に今上天皇が退位され、翌5月1日に皇太子殿下が新天皇に即位されることとなった。
 今上天皇の時代は、日本人は戦争で一人の犠牲者もいない平和な時代であった。新天皇の時代に
おいても平和が続くことを祈りたい。
5 皇位継承問題
 初代神武天皇以来今上天皇まで124回の皇位継承が行われてきた。いずれも男系継承であった。
この内、半数近くは非嫡系による継承であり、また、56回は傍系による継承であった。10代
8人の女性天皇が存在したが、いずれも男系女子であった。
 現在の皇室典範においては、男系男子で嫡出であることと規定されており、また、養子が禁止さ
れている。1947年に11宮家51名の皇族が皇籍離脱し、その後、9人連続女児が誕生したこ
となどから、皇統断絶の可能性も出てきた。小泉首相の時代に安定的な皇位継承のあり方に関する
有識者会議が設置され、2005年、女性・女系天皇の容認、長子優先といった報告者が提出され
た。
 しかし、2006年に悠仁親王殿下が誕生されたことから、同報告書に基づく皇室典範改正は事
実上棚上げの状態になっている。
 2019年5月1日には、皇太子殿下が新天皇に即位されることとなっているが、次の世代の皇
位継承者としては、悠仁親王殿下お一人といった状況にある。遠からず、皇室典範を改正して安定
的な皇位継承を図っていくことが課題となっている。
 今まで続けてきた男系継承を続けていくのか、それとも、女系継承も容認するのかが検討課題で
ある。どちらを選択するにしても国論を二分する可能性がある重要な問題と思われる。





    
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