** * まちだ雑学大学 * ****

  講座概要


    
  第95回講座    2018.6.19  町田市文学館ことばらんど

             天気で儲ける(気象情報サービス最前線)
        気象・環境コンサルタント 小川 隆 氏


テレビやインターネットでお馴染みの気象情報。日々の
生活やレジャーに欠かせない情報ですが、気象情報は陸
海・空のあらゆる産業で活用されています。身近なとこ
ろでは街のコンビエンスストアやスーパーで、商品の仕
入れ量や商品の陳列を検討するのに気象情報を活用して
います。仕出し弁当屋さんも気象情報を参考に出荷量の
調整や調理に掛かる最終判断を行います。
その他、大型の娯楽施設や建設工事現場、市町村の防災
機関、太平洋・大西洋を航行する貨物船、大気中を飛ぶ
飛行機も気象情報を活用して飛行コースや飛行高度を決定します。これらの産業で活用される
情報は気象庁が発表する天気予報ではなく、その多くは民間の気象サービス会社が提供してい
ます。テレビでお馴染みのお天気キャスターも多くが民間の気象サービス会社から派遣されて
います。無料で入手できる気象庁の予報ではなく民間の気象サービスが利用されている理由は
いくつかありますが、そのひとつがお客様のご希望の時間にご希望の形で提供される内容であ
ることです。
 
 気象庁は1日に3回、決まった時間に広い範囲を対象に定性
 的な内容の予報を提供していますが、気象サービス会社の予
 報はお客様のご希望の時間に提供され、その内容は必要とさ
 れる地点を対象に1~3時間毎の時間的にも量的にも細かい
 内容となっています。又、情報は天気予報に留まらずお客様
 の気象リスクに対する具体的な対応策をアドバイスする内容
 となっています。例えばサービスを契約している貨物船に対
 しては、予想される風や波の影響を考慮し安全で経済的な航
路の推薦を行います。因みに気象に起因する海難事故の発生数は、サービスを受けている船は
受けていない船の6分の1と言われています。更にサービスを利用することにより燃料代や人件
費等の削減も可能で、その費用投資効果は10以上になります。
 
天気予報で問題になるのが予報精度ですが、気象サービ
スは予報精度ではなく提供した対応策によってお客様の
リスクがどの程度下げることが出来たのかが問題です。
仮に当初の予報に変化が生じた場合は最新の解析による
新しい予報が提供されます。刻々変わる気象状況を入手
できることにより適時、気象のリスクを下げる行動をと
れるということが気象サービスを採用する大きなメリット
ということになります。各産業が気象情報を積極的に利
用する理由として、最近目立つのが環境への配慮です。
気象情報を活用して無駄な燃料や電力の削減、廃棄ロスの減少等を実践する企業が多くなって
おり気象情報は益々多くの産業で、そして多くの目的で利用されるようになってきました。

    
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