受講案内


2月の雑学講座

    第117回講座
 小津安次郎の映画作品「秋刀魚の味」の英訳タイトルは「an autumn afternoon 」“秋の午後”
若しくは“昼下がり”、仏語訳タイトルは 「le gout de sake」 意味は“酒の味”です。映画
で出てくる魚はハモで、肝心の七輪で焼く秋刀魚の塩焼きの煙も出て来ません。寧ろ酒に弱い役
者笠智衆も閉口したほどお酒を飲む場面がとても多かったためか、フランス語のタイトルは酒の
味となったようです。
 秋刀魚は佐藤春夫の“秋刀魚の歌”という詩にもあるように、日本人の秋の味覚と風物詩又手
軽な値段で美味しい庶民的な魚などの独特なイメージがありますが、フランス語では馴染みのな
い魚で、日本的なイメージが伝わらないので、結局「酒の味」となったようです。これが翻訳、特に
直訳の難しさでもあります。
 夏目漱石は、東京大学で英語を教えていた時、「I love you」は日本語でどんな翻訳かと学生
に質問した際「僕は君を愛している」、「貴方が好き」など直訳的な訳文しか出てないのを見て、
夏目漱石は「今夜は月がきれいだね」と訳文例をあげたそうです。言葉は文化であり翻訳も文化
なのです。
 日本語は形を変えて多くの漢語や様々な外来語を大和言葉に受容しています。又日本語は外
国へ発信もしてきました。オックスフォード辞典に掲載されている177 語の日本語、俳句・短歌
侘び・霊気・武士道・盆栽・ワカメ・ぽん酢・和牛・旨味・漫画・塾・二世・おたく・改善・系列・過労死
携帯などは翻訳しにくい独特の日本人の思考と言葉と文化からの発信とも言える訳です。私自身
の35 年間の日本語教育(約30 ヶ国・約700 名)現場での体験談、国語辞典の編纂と翻訳作業での
面白いエピソード等を日本語・日本人・日本文化の特性についての体験的な話をご披露します。


30か国、35年間の日本語教育!!

―比較文化、翻訳(直訳・意訳・誤訳)などは―



加藤 望 氏
フランス語翻訳家

日 時  2月8日(土) ) 14時~16時 
会 場 町田市民フォーラム第2学習室A&B(4F)
[地図]
(町田市原町田 4-9-8)
参加費  500円(まちだ雑学大学会員は無料)
   先着100名とします


かとう のぞみ1948 年東京野方生れる。瀬戸の陶芸家・陶祖景正の末裔・23 代目。
パリ大学第四留学後、在日外国人のための日本語教育に従事。
国語辞典執筆校閲。翻訳業と作詞活動に携わる。
エッセイ・散文詩などの著作・散文詩集「幕あい」。

   <雑学大学からのお知らせ>・・・・・・・・・・・
   ・次回の講座定  
まちだの郷(さと)をたのしむ~日々の生活のなかで

新潟医療福祉大学名誉教授
手塚 直樹 氏


2月28日(金)14時~16時
町田市民文学館2F大会議室
          問い合わせ  mail m.zatugakudai@gmail.com
                  Tel: 042-745-7608
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